5月14日(土)新潟県医師会館にて臨時研修会を開催しました。これは、東日本大震災による福島第一原発事故の発生により、新潟県からも医療関係者・電気事業者・土木事業者等の方々の派遣が見込まれることから、それらの方々に安全に働いていただくために計画された研修会で、緊急の開催にも関わらず132名の方に参加していただきました。
司会の興梠建郎氏
会場の様子
1.指定発言「東京電力柏崎刈羽原子力発電所産業医の立場より」(小野寺周氏 東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所産業医)
柏崎原子力発電所内の救急措置室や福島原発事故の作業にあたる関係者の様子など、大変貴重な写真を多く見せていただきました。
柏崎原子力発電所で万が一事故が発生した場合の、労働者が被ばくしないための体制作りや被ばくしてしまった場合の医療ネットワークもしっかりと作られており、また、柏崎原子力発電所で働く労働者が福島に応援に行く際には現場で足手まといにならないよう指導を徹底しているそうです。
小野寺周氏
2.講演「福島原発事故の放射線災害への対応」(酒井邦夫氏 前新潟大学放射線科教授・前新潟労災病院院長)
放射線という言葉は、普段当たり前のように使っていますが、様々な分類がありそれによって測定機器を使い分ける必要があるそうです。また、過去の主な原発関連事故と今回の福島原発事故の比較など、酒井先生から幅広くお話をしていただきました。
「被ばく医療の対象として原子力施設の従事者と周辺住民を区別すべきではない」(緊急被ばく医療の基本理念)という解説もあり、産業保健(労働者の健康)の重要性を改めて実感する言葉であったと思います。
左から佐藤久夫氏、酒井邦夫氏
3.講演「災害地派遣に伴う行政上必要な措置」(佐藤久夫氏 新潟産業保健推進センター副所長)
「屋外のがれき等の撤去作業」であるという想定で、行政の立場から解説していただきました。通常、一定の距離がある屋外での作業の場合は管理区域に該当する可能性はほとんどないのですが、放射線がいつ強くなるかわからないので、呼吸用保護具・保護衣類を使用することが大切なのだそうです。
また、今回の福島原発事故では放射線以外にも粉じんや労働災害の面での対策が必要だということでした。
質問に答える長沼毅氏
急遽開催が決まった臨時研修会で、事務局も準備でバタバタしましたが、当日は大きなトラブルもなく、無事研修会を終えることができました。今後も皆様の参加をお待ちしております。